絵葉書の年代特定
基本的に絵葉書には発行した年月日は記載はされておらず、博覧会や記念日などの年代がハッキリしているもの以外の正確な特定は難しい。
これから説明する方法では、大まかな発行年は特定出来ます。
通信面での判断
通信面は絵が描かれている反対側の宛名を書く面。
発行当初の通信面には宛名のみしか書けず、相手へ言葉を伝える時は絵柄面に書かなければならなかった。なので、明治期の絵葉書には絵柄面に文章が書かれている物が多いのはこれがである。
その後、通信面に宛名以外の事が書ける区切り線が追加された。
区切り線
上記で出てきた区切り線には年代によって引かれている位置が違っており、そこから年代の特定が可能。以下は、年代ごとの区切り線の位置である。
通信欄の罫線がない | 信欄の罫線が3分の1 | 通信欄の罫線が2分の1 | |
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画像 | |||
年代 | 明治33年~明治39年 | 明治40年~大正6年 | 大正7年~ |
海外のでも区切り線で年代を分ける事ができるか国ごとに実施された年代が異なり、尚且つ印刷もバラつきがある。
以下の通信面はイギリスで発行されたものです。
通信欄の罫線がない | 通信欄の罫線が2分の1 | |
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画像 | ||
年代 | 1902年以前 | 1902年~1907年以降 |
郵便はがきの表記
もう一つは通信面の上部になる「郵便はがき」の表記。こちらも年代ごとに表記が異なるので年代の特定が可能である。
以下は、年代ごとの表記である。
きかは便郵 | きがは便郵 | 郵便はがき | |
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年代 | 明治33年~昭和7年 | 昭和8年~昭和19年 | 昭和20年~ |
印刷方法で判断
実は絵柄面の印刷方法でも年代の特定ができます。
ですが、印刷時期が広く各製作所ごとに印刷方法がまちまちである為、正確な特定とは言い難いです。
コロタイプ印刷(1900年~)
絵柄面を拡大した際に網点が出ないものはこの印刷方法に当てはまります。
コロタイプ印刷は、写真ネガを原寸大で印刷できる為、細部まで正確な印刷ができます。
また、コロタイプ印刷は多色刷りが困難な為、手彩色という色が付いたものも存在する。
これは、人の手によって色が付けられているもので出来栄えも差があり、全体的に着色されているものから一部分のみ着色と幅が広いです。
ですが、生産性が悪くオフセット印刷のような大量生産できる印刷へと流れて行きました。
オフセット印刷(1915年 ~ )
絵柄面を拡大した際に網点があるものはこの印刷方法に当てはまります。
現在でも主流の印刷方法でコロタイプ印刷とは大きな違い安価で大量生産でき、尚且つ多色刷りができる事が一番だと思います。
なので、大正後期頃から制作される絵葉書の殆どはこの印刷方法で刷られることが多い。
切手で判断
切手も年代を特定する手掛かりになります。
下の3種は各年代ごとの切手で左から菊切手、田沢切手、昭和切手になります。
菊切手 | 田沢切手 | 乃木切手 | |
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年代 | 明治33年~明治41年 | 大正2年~昭和11年 | 昭和12年~昭和22年 |
また、上記の物とは別に記念切手もあり、更に年代を絞り込むこともできます。
それ以外の方法
写真に写っている建造物や服装などで年代を特定する方法もありますが、調べるのに時間がかなりかかります。有名な観光地や繁華街、祭りなどはそれなりに資料が残ってたりするのでいいのですが、どこでもありそうな風景や情報量が少ない写真だと特定自体できません。